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Keitorin
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"ネズミは穴の中にいた。 暗闇の中で、静かに息を吸う。わずかに湿気をおびた土の匂いがした。 ゆっくりと慎重に前に進む。穴は狭い。ネズミがやっと通れるほどの広さしかなかった。 そして、暗い。光は、どこにも見えなかった。心が落ち着く。暗く狭い場所は、好きだ。 それは、自分を捕らえようとする大型の生き物が踏みこんでこれない場所でもあった。 束の間の安堵と平穏。肩の傷が鈍く痛んだが、さして気にならない。 問題は、痛みより出血量だろう。傷は、それほど深いものではない。少量の肩の肉をえぐっただけだ。 もうとっくに、血液凝固が始まり傷口をふさいでもいいはずだった。 しかし……傷は……。ぬるりと温かな感触がする。血は、まだ、流れ続けていた。 ------あいつら、弾に凝固阻止剤を。 ネズミは、唇をかみしめた。"
thekillinglights
292 Characters / 2 Recordings / 5 Comments
"これは、歪んだ物語。 「ねえねえねえ!いるんでしょう誠二さん!今日も来たんですよ!大変、鍵を開け忘れてますよ!これじゃ私が入れません!」 警報警報。ストーカーが家に襲来中、さっきから俺の部屋のドアをどかどかと叩いている。インターホンを一度使わないとはー本どういう了見だ。 「鍵が掛かってますよ!もしかして寝てるんですか!きゃッ!私ったら男の人の寝込みを訪ねるなんて初めてです!」 警告警告。先週の俺に警告。田舎から出てきたような娘をチンピラから助けてやった。話を聞くとどうやら明日から俺と同じ高校に通うらしい。そしたら何故かこの始末。一緒に助けてあげた子は凄く礼儀正しい子だったのに。"